歴史から学ぶ

教育の歴史 家庭教師

最初期の半ば無自覚な方法から、より意識的に効率よく教育を行うという変化の中で出現してきたのが「教師」という存在です。その中でも家庭教師は、古代から存在してきたかなり古いタイプの教師だということができます。そもそも教師とは、兼業にしても専業にしても、教育を行うということを専門的に行うエキスパートであるというのが最大の特徴でしょう。このあたりから朧気ながら、「教育技術」というものが意識されるようになります。

 

初期の教師はそうした技術への認識は低く、大体の場合は豊富な知識を持つ人間を家庭教師として自分の子供につけるという形でした。その一番の例が、ローマにおけるギリシャ人家庭教師です。ローマ帝国は時代の中で特異とも言える社会体制と、高い技術、非常に強力な軍隊などで地中海の覇者となります。しかし、文化という面においてはギリシャ文明の後継者という意識が強く、ギリシャの文化を積極的に取り入れようと努めました。その試みとして、属領にしたギリシャから文化人や修辞学者、科学者などといった知識人を半ば無理矢理招いて、自分の子弟の家庭教師としました。こうしてローマに招かれたギリシャ人家庭教師は自分の持っている知識を子供たちに伝授していくことを仕事とします。家庭教師の形そのものはその以前から存在していましたが、わざわざ別の文化圏から教師を招いてまで家庭教師にするというのはこの時からだったと思われます。

 

現代においては、テキスト・教本が十分発達しているために、家庭教師の役割は知識の伝授より学習の補助、もしくは学習の監視という役割になっています。学生のアルバイトとして選ばれることも多いのは、そうした「一緒に勉強する」という役割が重視されているからでもあるでしょう。